「SEED-シード-」は1996年から2002年まで「ビジネスジャンプ」に連載、世界情勢から見た環境問題などをテーマにした、当時、異色のコミックとして反響を呼んだ作品です。原作には「MASTERキートン」の作者でもあるラデック・鯨井さんがあたりました。ラデックさんは2004年ガンで亡くなりましたが、その作品、遺志に影響を受けた方も大勢います。
今回は、オンデマンド出版を記念して「SEED」作画の本庄敬さんの仕事場を訪問、同じくラデックさん原作「マジンジラ」作画のつやまあきひこさんにインタビューしていただきました。
本庄敬(以降"ほ") : いや今日はわざわざお越し頂いて。
つやまあきひこ(以降"つ") : いえいえ、ぼくもお会いできるの楽しみだったんですよ。ところで(部屋を見回して)動物フィギュアがすごいですね。
ほ : 地下室にもまだいっぱいあるんですよ。動物ものが好きでね。
つ : 本庄さんは動物描くのホントうまいですよね。何であんなに緻密にかけるんですか。
ほ : いや、やっぱり好きで。生まれが北海道で漁師の息子だし、子供の時から自然はまわりにいっぱいでしたから。でもねえ、今は海も磯焼けとか砂漠化して、海産物が昔ほどとれなくなって・・。
それはそうと笑っちゃうのは、いま、漁師町でも子供は海入んないですよ。みんなプール。
つ : ぼくも子供たちと会う機会があるんですけど、親の方が危ないからとか言ってね、遊ばせないんですよ。
ほ : でもさ、実際に海や山で遊んでみないとわかんないこと多いんですよね。オレなんか遊ぶものなかったから勝手に山いっては木の実食べたり、海でウニとって食べたりしてたもんなあ。
つ : 自然が大事って、紙の上でしか知らない人が多い。ちょっと疑問です。環境を語る人に自分はどうなの?と問いたい
ほ : このごろさ、環境環境ってブームになってるけど、ホントにわかってんのかなあ、と思います。たとえばここらでもカッコーはいるしタヌキもいるんですよ。どこかの国のことも大事ですよ、でも近くの自然を見ないで自然保護とか言うのって、なんかちがうなと思うんですよ。
オレね、環境をよくしたいなら、人づくり、人を育てることだと。人の話もよくきけない、人を思いやることが出来ない人が自然に優しくしようとか思いますかね?
つ : そうですよね、ほんとその通り!
ほ : もう一回ね、オレ「SEED」のリベンジしたいんです。でも描くなら真っ向から環境問題で攻めるんでなくて、人と人の関係とか別の視点から描いてみたい。
― 正反対の二人だからこそ、いい作品に仕上がった
つ : 「SEED」はどういういきさつで描くことになったんですか?
ほ : 不思議なもんでね、描きたいなあと思う仕事が向こうからやってくるんですよ。(笑)その時も、自然農法の本とか読んでて、アシスタントの人と「こういうの描いてみたいな」とか言ってたの。そしたら(集英社から)話がきた。
つ : ラデックさんとはそれではじめてお会いしたんですね。
ほ : そう。いっぱいぶつかりました。こっちも遠慮せずにガンガン言いましたから。15才くらい先輩なのに。
つ : どういう風にぶつかったんです?
ほ : ラデックさんは学者肌で、やっぱりどうしても専門的になってしまう。こっちは漫画家でしょ。誰に読ませたいんだ?と。専門家や環境のプロを納得させるために描くのか、それとも一般の人に興味を持ってもらうために描くのか、って。
オレはまず、つかみが大事だと思ってたから。ケンカして「もう描きません」とか電話で言っちゃったときもあった。でもオレたちエライのは、ケンカしてるときでも原稿はこつこつ仕上げてた。(笑)
つ : 「SEED」の巻末にいつも環境ネタが書いてあって、10年前っていったらまだほとんど環境問題とかメジャーじゃなかった。それを今読んでもこんなに正確にとらえてて、やっぱりラデックさんはすごかったなあって。
ほ : 時代が早すぎたんですよね。環境破壊とか、世界の現状に熱い怒りを持ってた人でした・・。それが原作の原動力になってた。
つ : 逆に当時ブレイクしてたら大変な目にあってたかも。攻撃がすごかったですよ、きっと。
ほ : でも今回オンデマンド化にもなったし。今、ネットや携帯で漫画も読めるでしょ。昔は興味なかったけど、漫画も売れなくなってるご時世だからこの際手段はなんでもいい、とにかくいろんな人に読んでもらいたいと思う!
つ : 本庄さんもアツイなあ。是非リベンジを、期待してます。
ほ : ラデックさんの思いと自分の思いを融合させたもの、それ描いたらもうしばらくはいいや、くらいのもの描きたいですね。
(取材:鞍作トリ)

SEED(シード)[オンデマンド出版]
作者 ラデック・鯨井、本庄 敬
出版元 コミックパーク
発展途上国などの農業開発に携わる森野は、政府開発援助の企画を立てるため、ベトナムのバンソップ地方へと向かう。しかしその地は、かつて彼が関わった仕事で事故を起こした因縁の地だった!? 政府開発援助(ODA)のあり方や自然の保護、農業問題に温かみのあるタッチで取り組んだ意欲作(「ビジネスジャンプ」掲載作品)。





